飛べない鳥に、口づけを。







仕方なく、受け取った薬を監査する。

痛み止めに湿布だ。

すぐに監査は終わり、ドキドキしながら待合室を見る。

すると、そこには戸崎柊と矢沢さんがいて、矢沢さんが目を輝かせて戸崎柊と何かを話していた。




そんなに話したいなら、矢沢さんが薬を渡せばいいのに。

……そうだ、矢沢さんが渡せばいいのだ。

あたしは矢沢さんに薬を渡すから、その続きは……




「あの……矢沢さん?」




物陰に隠れて矢沢さんを呼ぶ。

すると、



「おー、川口。頼んだぞ」



矢沢さんはそう言い放って、いそいそと調剤室に戻ってしまった。






……矢沢さんの意地悪。

あたしが戸崎柊を見てテンパるところを笑いたいんだ!

テンパってなんか、やらない。




そう思うものの、身体が震えて鼓動が速くなる。

もちろん、戸崎柊が好きな訳ではない。

戸崎柊を見ると、樹君を思い出してしまうからだ。