飛べない鳥に、口づけを。






無心に軟膏を練りながらも、樹君のことばかり考えた。




あの笑顔が好きだった。

小沢さんを大切にしているところも好きだった。

それに、プレーしている姿も好きだった。

あたしにとって樹君は特別な存在だったが、樹君にとってあたしは特別ではなかったのだ。

それでも、最後に楽しい日々をありがとうと伝えたい。

樹君と過ごした三ヶ月は、あたしにとって非日常的でかけがえのない時間だった……