矢沢さんに言った通り、樹君とは本当に何もない。

何もないが、関係が切れた訳でもなかった。

時々メールをして、小沢さんの家で偶然居合わせたりして。

そして、稀にサッカーを一緒に観に行く。

本当にそれだけの関係だ。

そのただの友達関係を続け、もうすぐ三ヶ月になる。

樹君の怪我は快方に向かっているようで、いつの間にか普通に歩けるようになっていた。

それでも樹君に言わせれば、「まだまだ」らしい。





あたしは、まだまだ暑さの残る秋の道を足早に歩いた。

この道に雪が積もる頃には、樹君がアスールに復帰出来るのを願うばかりだ。