飛べない鳥に、口づけを。






全身をドキドキ言わせ、顔を紅潮させ、樹君とスタジアムに入る。

すでに青色で埋め尽くされているベンチに座ると、樹君と腕が触れた。

その瞬間、触れた部分がバチッと熱くなり



「ひゃっ……」



変な声を出して身を捩ってしまう。




おかしい……

樹君に少し触れただけなのに、あたしの身体は狂ってしまいそうだ。





そんなあたしを少し驚いたように見た樹君は、



「ごめんね」



なんて謝る。

あたしはまた、なんで樹君に謝らせているのだろう。

こんなにも嬉しいのに。

もっと……樹君に触れたいと思ってしまうのに。

こじらせ女は厄介だ。