飛べない鳥に、口づけを。






「菜緒ちゃんも、きっと柊を見るとファンになるよ?

凄いんだよ、柊は」




そんなことを言う樹君に耐え切れなくなって、あたしは言葉を発していた。




「あたしには、樹君だから」



「……え?」




樹君は目を丸くしてあたしを見る。

その瞳に見つめられ、一気に顔に血が上った。




またまたあたしは、勢いでなんてことを言ってしまったのだろう。

慌てて口に手を当て、



「ごっ……ごめんなさい」



謝る。

別に悪いことをしていないのに、謝るしかなかった。