樹君は器用にあたしに歩み寄り、 「遅くなってごめんね。 ちょっとチームメイトと話をしていて」 申し訳なさそうに言う。 その言葉を聞いて、やっぱり樹君はアスールの選手なのだと思い知った。 DVDで嫌という程試合を観て、分かっていたはずなのに。 それなのに、本人を目の前にしてアスールの話なんかを聞くと、身体が震えてしまうのだった。