天使の傷跡


「あの日言ったよな? 俺はお前を諦めるつもりはないって」

「 ! 」

「緊急事態っていうのはあながち間違っちゃいない。俺にとっては一大事なんだからな。お前を手に入れるためなら卑怯な手だって使うさ」

「そ、んな、ことっ…!」

堂々とそんなことを言われてしまっては返す言葉もない。



『 申し訳ありませんが、お断りします 』



それはあの日、突然のプロポーズに対して私が返した言葉だ。

…そう。私は彼の申し出を断ったのだ。

あの時、課長の目は少しも笑っていなかった。
その表情は彼の言葉が本気であることを如実に語っていた。
それでも、私には信じられなかった。

…違う。信じようともしなかった。


何故なら、私は課長を受け入れることはできないから。