そんな私を見て

「洋子、ここは両親が不動産投資用に買ってた物件で空いてたから実家から出るのに借りたんだよ。僕の所有って訳ではないんだ。ここが嫌なら洋子が気に入るような物件探して借りるか、いっそ家を買ってもいいよ。」


御曹司であり社長っていう財力感を今の言葉で半端なく感じた。

これは仕方ないのかもしれない。

生まれたお家が裕福な家庭だっただけだし。
仕事は人一倍努力もしてるし責任も大きいのだから。


「いえ、ここで大丈夫です。こんなに高くて景色の良い所は初めてなんで驚いて聞いてしまっただけだから。」

するとホッとしたように息をつき

「それじゃあ、リビングに行こう」

部屋着や下着などの買った服は私の部屋に置き
食料品やら他の雑貨類はそのまま持ってリビングへ。


入ったリビングは20畳程の広々とした空間でキッチンは対面式のカウンターキッチン。
その前にダイニングテーブルがあり、少し離れてテレビが置かれたあたりにはセンターラグとその上にローテーブルとソファーがテレビが見やすいような形で置かれている。

そして窓の外は綺麗な夜景が見えている。


「すごい、綺麗。」

思わず窓に寄って外を眺めてしまう。


「あ!あっちにスカイツリーが見える!すごいね守さん!」

そうはしゃいだ声をあげると


「喜んでくれてよかった。」


近くに来てくれた守さんがコツンと額同士を合わせた

「洋子、今日からここが洋子の家だよ。なにも遠慮せずに過ごして。それが僕の望み。分かった?」

両手で頬に手を添えて目を合わせた守さんが優しく見つめてくれる

「分かった。」

この、近い距離に照れつつもそう答えた。