無理なことはちゃんとわかってるけど!
「今度こそ燐に勝ちたい!」
たろうさんは頑張るぞ、とポーズを決めているが、翔がパスッと冷たく言い放った。
「無理だろ」
翔はクールだなぁ。
すごい、今、光の速度でたろうさんを泣かせたよ。
いや、光の速度はちょっと盛った、かなり盛った。
「なんで! 次こそは勝てるかもしれないじゃんっ」
「お前が1番そばで燐の強さ見てるだろ」
そうだけどー、と不満そうに口を尖らせる。
燐って、そんなに強いんだ。
たろうさんが2番目に強いっていうことが意外すぎるんだけどね……。
「なーなー、そろそろ倉庫行かへん? 下の奴らが待ってんねんで」
スマホをいじっていたためにあまり喋っていなかった律が、たろうさんの声をとめた。
下の奴ら……ってことは、暴走族の仲間達のことだよね。
「そうだな。 そろそろ行くとすっか」
みんながそれぞれ行く準備をし始める。
なんか、騒がしかったから、1人で待つの寂しいなぁ……。
って、何言ってるの私!
1人で待つのなんて、慣れてるでしょ!
「行ってらっしゃい、みんな」
お見送りはしようと思って玄関まで行くと、皆が不思議そうに首を傾げた。
なにか、おかしなことでも言ったかな……?
「優恵ちゃんも行くんでしょ?」

