太一side



体育館に戻れば、

まだ練習試合が続いていた。


一ノ瀬という奴の視線を感じた気がしたが、

何事も無かったかのように振舞う。



さっきは環奈の突然の過呼吸に驚いたが、

思ったより、大丈夫だ。

環奈の方を見れば、

レンズ越しに目が合った気がした。


昼の練習の時よりも、

フォームが落ち着いている。


今日の練習試合中、

良い試合を繰り広げてはいたが、

俺らの方がセットを落とすことはなかった。

つまり、現時点では花崎の方が強いと証明されたのだ。

その事実が、"あいつ"に勝っているようで

気分が良かった。


こんなことを考えてしまう俺は

まだまだガキだなとも感じながら。





太一slde.end