「はぁ、はぁ……」
「サラ、どこに行くのっ?」


外に出てみると、街のあちらこちらで火の手が上がり、誰かの断末魔が木霊していた。


人が人を襲い、その肉を貪り、襲われた人もまた蘇り、生きている者を襲う。


「なに、これ……っ。どうなっているの?」



街は煙と赤に溢れ、地獄と化していた。



「ティアラ、あの家に入ろう。あそこに隠れるわよ」

「うっ、うん……」

私たちは既に襲われたであろう、見知らぬ人が住んでいた家のクローゼットに忍び込み、身を寄せ合いながら恐怖の一夜を過ごした。