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説明を終え、ゴーンシティに向かう車の荷台では、【Q.C.P】の隊員たちが息を潜めていた。


……が、しかし。


「なぁ、ジェフ。これで俺たちも功績を上げれば、昇給間違い無しだよな? 」


新米隊員、ギルバートはヘルメットの中に隠した銀髪を搔き上げる癖を見せ、「あー、そうだ、被ってんの忘れてた」とそばかすだらけの顔を歪ませて舌を見せる。


「そうだな」

お調子者のギルバートに声を掛けられたジェフ=パーカーという男は、精悍な顔立ちの表情を変えぬまま、静かに目を伏せていた。


ギルバートは「やれやれ」と言ったワザとらしいため息を吐き、首を左右に振る。


「ってか、さっきのダンチェス司令官の説明、おかしくねぇ? なんでテロリストの要求が無いのに、俺たち【Q.C.P】である軍や警察のエリートが、凡人よりも先に駆り出されんのさ」


そう、彼ら【Q.C.P】は軍隊や警察の中でもより優れた20〜30代の人物たちによって構成された、特殊部隊。


いわば精鋭中の精鋭である。


決められた時間に決められた行動を取り、規律を守り、仲間を守り、任務を全うする。


「テロリスト相手の消耗戦には、凡人相手で十分だろ」


空気の読めないギルバートの言葉に触発され、車内がピリピリとし出してしまった。