冷たくあしらわれたムッシュは、自分より弱い立場のサラとティアラに同意を求める。


「なぁ、お前らもここに残って救助を待つだろう? わざわざ危険な地に足を踏み入れるつもりじゃ無いだろうなぁ?」


サラはか弱い少女を躊躇いもなく突き飛ばした男を、キッと睨み付けた。


「少なくとも、貴方といるよりは彼について行った方が安全だわ。私たちは、タリック屋敷に向かいます」
「ティアラも、サラとお兄ちゃんについていく……」


サラの意見を聞き、トニーも同調する。


「私も、そうしますよ。早くこんな街からは出たいですし」

狼狽えるムッシュに、逆に冷ややかな視線が突き刺さり始める。


「決まりだな」


一向は全ての始まりである謎に包まれたタリック屋敷に向かって、脚を進め始めた。