「……っとまぁ、これが1週間前にゴーンシティにある屋敷からあった通報だ」


静かな会議室で、赤きベレー帽と迷彩服に身を包んだ大柄な男が、パソコンから流れる音声を止めて、大多数の部下に説明する。


この男の名は、ダンチェス=ラーグ。


アメリカ支部にある会議室に集められた精鋭達をまとめる、司令官である。


「で、この通報を受けた地元の警官が、3人で現場に向かった。……しかし、その後消息不明。既に6日が経過している」


次にプロジェクターに映し出された映像は、至るところから火の手の上がる街並みだった。


「これは政府が上空から映したゴーンシティの現状だ。街は内部から、壊滅的なダメージを受けているのが分かる。そして、今回の騒動はテロの可能性が高いため、俺たち特殊部隊【Q.C.P】に政府からの依頼が来た」


ダンチェスの前には防弾チョッキに身を包み、腰に銃を携え逞しい身体付きをした100人ほどの精鋭たちが、後ろに腕を組んで彼の言葉に耳を傾けている。


「俺たちが請け負った任務は、《街の被害の把握》と《ゴーンシティの住民の安全の確保》。なお、テロリストからの犯行声明はまだない」


パシュンッとプロジェクターの光が消え、辺りは静寂に包まれる。


「街の中で、何が起きるか分からない。皆、気を引き締めていけ! 」


「「「はい!」」」

怒号と共に、100の人間がその場でザッと敬礼する音が、会議室内に響いた。