「それは、どういう意味だ?」


質問の意図が分からず、眉間にシワを寄せて尋ね返せば、凄みのある迫力を受けたサラが、ワタワタと両手を振る。


「あ、あの、私たち、一度は街の入り口にまで向かったんです。でも、街の入り口に体の大きな怪物がいて、教会まで引き返して来たんです。ジェフさんは上空から来たんですか? あ、でも、ヘリコプターの音は聞こえなかったし……」


「街の入り口に、怪物がいた?」


ジェフは自身の腰に備え付けてある無線機に、視線を落とす。


「はい、そうです。2メートルはある大男が、巨大な斧を持っていて、街から出ようとする人たちを次々と殺していて……」


……そういえば、教会に着いた時から本部に向かっているグレグリー隊長に連絡を飛ばしているが、一向に出る気配が無い。


初めて会ったばかりの少女が、こんな状況で自分に嘘をついているとも思えない。

(まさか、…………)


最悪の展開が、脳裏を掠める。