「それから私たちは死線を潜り抜けて、今日まで生き延びている次第でございます」


紳士的なトニーからの一連の流れを聞き、ジェフの心にはある疑問が浮かび始めていた。


(……タリック屋敷に向かった警官が、あの化け物になった? ……そう言えば屋敷から聞こえてきた鐘の音で、屍と化した住民たちは凶暴になり、俺たちを襲い始めたな……)



点と点が線で繋がるように、生じた疑問は、ひとつの結論に繋がっていく。


(全ての元凶は、タリック屋敷から始まっていると仮定するのが正しい。そして、俺たち特殊部隊【Q.C.P】が政府から駆り出された原因は、十中八九【killer】の存在を上層部が知っていたからだ)


だとすれば、なぜ上層部は【killer】の存在を隊員に隠していた?


雑念を振り払い、ジェフはトニーに尋ねる。



「……街から脱出できた者はいないのか?」


「それは……」


返答を渋るトニーに変わり、サラが逆に尋ねる。


「そう言えばジェフさんは、どこから街に入って来たんですか?」