「ああ、俺は特殊部隊【Q.C.P】の、ジェフ=パーカーだ。生存者は此処にいる4人だけか?」

「いいえ、違います。あと3人、教会周辺の見回りに出ています」

先ほど女児と隠れていた日本人の学生らしき女性が、彼女を庇うようにして現れる。


「君は?」

「私の名前は、サラ=タナカ。この街にホームステイに来ていた、18歳の日本人です。この引っ付いている女の子は、ティアラ。私のホームステイ先にご両親と住んでいた、9歳の女の子。彼女のご両親は、【killer】に殺されました」


「キラー……?」


聞き慣れない言葉にジェフが首を傾げると、横から高圧的な態度の中年男性が、口を挟む。


「外でウロいてる、あの化け物どものことだ! 」


高価そうなスーツは薄汚れ、苛立ちを露わにしている先ほど襲われていた小太りな男を見やると、サラと名乗った茶髪の学生が説明する。


「彼の名は、ムッシュ=フューズ。ゴーンシティの商会を仕切っている会長らしいです。ずっとあんな調子で怒鳴ってるの」


呆れ顔で肩を落とすサラだったが、その表情は暗い影を落とす。


「落ち込んでいるところをすまないが、説明してくれないか。7日前にこの街で、何があったのかを」