バンッ!とひとつの銃声が弾けた途端に、住民の動きが緩慢になった。


グレグリーが、住民のふくらはぎを撃ったのだ。



その隙をついて、ギルバートは銃の先で敵の頭を小突き、不利な体勢から脱出することに成功した。



「ちくしょう、やっちまった。相手は民間人だってのに」

ガチャン、と弾を装填しながら、一般人を撃ってしまったことに対する罪悪感に苛まれる、スキンヘッドのグレグリー。


しかし、悲しくもその罪悪感はすぐに、新たな正義感へと塗りつぶされることになる。



「う、うわぁぁぁ! なんだ、お前ら!」


後ろを向くと、イアンとサコスの周囲に、ゆらゆらと近付く4人の住民の姿が。


皆、足を撃たれて地面を這いつくばる住民と同じく、目は虚ろで生気は無い。


痛覚が鈍っているのか身体は傷付き、腐敗臭のする者もいた。


というより、抉れた患部から蛆が沸き、動けているのさえ不思議な者もいた。


震える銃口を近付いてくる4人に向けるイアンとサコスだったが、小柄なサコスの方に住民達が一斉に飛びかかる。


「わ、わぁぁぁ」


サコスはなす術もなく押し倒され、無残にも骨と肉を喰い千切られていった。


人間の所業とは思えぬ残忍さに、隊員たちは言葉を失う。