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なんの反応も示さなかった住民が、鐘の音を聞いた途端に身体を震えさせ、獣のような雄叫びを上げ始めた。


「ゔおああああああ!!」


鼓膜の奥の奥まで轟く、激しい咆哮。


「ギル、そいつから離れろ!」

ジェフが叫ぶも、ひと足遅かった。


血走った目をした住民はおよそ何の訓練も受けていない人間とは思えないほどのスピードで近くにいたギルバートに襲いかかり、馬乗りになったのだ。


「うおぉ、なんだコイツ?!」


目の前にある喉元に食らいつこうと鮫のように鋭い歯を皮膚に立てようとするが、ギルバートも必死の抵抗を見せる。