授業が始まる前の号令も、私が係の時は、いつも三間くんを指している。
「佐藤くん、静かにしてください。…三間!動かないで!」
「吉見さん!!''さん''を付けなさい!」
「…はい。」
先生に、毎回注意されてるけど、全く気にしてない。
普段でも、''くん付け''をやめて、''健斗''と呼ぶようになった。
「三間!!」
『くん!』
みんなにも、そう叫ばれるようになった。


ある日、先生は言った。
「吉見さん、三間くんが好きなのはもうわかったから、そろそろ三間くんって言いましょう?」
みんなはそれを聞くとゲラゲラ笑って、ヒューヒューと口を鳴らす男子もいた。
「うわぁ吉見、まじかよ笑」
「告白しろよー!」
男子のテンションが高くなって、私にそう振ってくる。
「いや、私は、そんなんじゃ…」
私は顔を赤くしながら首を振る。
(やだ、こんなのやだ…)

「バカ野郎。ちげーよ。」
健斗はそう呟いて、スッと立ち上がる。
みんながしらけて、健斗を見る。

「吉見さんは、俺が、だぁーいすきなんだよな!!」

「…え?」
健斗は、そう言って私の頭に手を置いた。
健斗がいかにも冗談らしき冗談を言ってくれたおかげで、場をなごますことができた。
(なんか、健斗に助けてもらってばっかり…。)

正直、私は健斗が好き。
そう、先生の言うとうり、好きだよ。

初めて、人を好きになりました。