中学に入ってもうすぐ1年。
クラスとのお別れが近づく。


「吉見さん、あなた達の仲間と共に、文集を作り上げてくれたまえ!!」

やる気ありありの担任、岡嶋先生は私にそう言った。
(文集…!私が?)
そう思ったが、内心、凄く嬉しかった。


「文集?いいね!」
「私でよければ!」
「おー!やろやろ!」
「早速分担決めよう!」

文集を作成するメンバーは、すぐ決まった。
小学校から親友の琴美、
今年知り合った由奈ちゃん、
趣味の合う果凜、
習い事繋がりで友達の奈那。


私達は、まず、クラスの色々なランキングを作ることにした。
休み時間、私達は作業を進めていく。
それは思った以上に素早く進み、みんなも楽しみにしていた。

「唯ちゃん!あとは唯ちゃんだけだー!
将来、行きたい国ランキング!唯ちゃんはどこに行きたい?」


''行きたい国'' …すぐに出てきた。
(懐かしいなぁ…)
あの国を思い出すと、自然にある『少年』も出てくる。
その時、私の目から塩水が出てきそうになった。

「あー、ごめん。考えておくね。」

そう言って、私は教室を早足で出ていく。
唇を噛み締めて堪えていたものが、目から溢れ出した。

放課後、裏庭の木に寄りかかって、その場でしゃがみこむ。


「あぁ、懐かし。もう、6年も経つのかな。」