私は西村多良。

訳有りで家出中の三十路の

どうしようもないほどの恋狂いが現在進行形で始末に終えず

肝心の恋の相手一輝さんにはかなり距離を置かれていることに

持って行き場のない切ない想いに潰されないよう

平静を保てていられるのも限界だとわかっていた。

西村と三上はビジネス上のパートナーであり

幼い頃から顔見知りの剛英とは年も近く

何かにつけて顔を合わせる機会が多いこともあって

幼なじみではないがあらゆる面で相談できる唯一の存在であったが

一輝さんへのアプローチには一切アドバイスをもらえてなかった。

剛英いわく「自分で何とかしろ。」

とたしなめられた。

剛英の親友である一輝さんに

自分を印象付けるにはどうしたら良いかを目下思案中で

慣れないワンルームに引っ越し

こうして悶々としていた。

着信音でスマホに飛び付いた。

一輝さんからだ。

「片付いた?良かったら一緒に何か食べないか?」

彼のそんな一言で涙を流せた。

私はこんなにもセンチな女だっただろうか。

「ありがとうございます。どこで待ち合わせしましょうか?」

「近くだからすぐ行くよ。」

私の目からさらに涙が流れた。

「待っています。」送信