この展開は一体どういうことだ。

頭の中がぐちゃぐちゃしてきた。

弁護士だったことはさっきバレた。

誠に本気なのも今バレたところだ。

バレてない、まだ言ってないことは子種がないことと

結婚はまだ考えてないことだ。

どれもこれもそのうちバレるかもしれない。

第一、結婚どころか同棲のドの字も言われてない。

誠は俺をどう思っているのかでさえ今まで一度も聞いたことがない。

「誠、今聞きたいことがある。いい?」

「何かしら?」誠は俺のベルトをまだいじくっていた。

「俺のこと、どう思う?」

「何を聞きたいの?私に何を言ってもらいたいの?」

「そうじゃなくて、素直な君の今の気持ちが知りたい。」

「それだけ?」

「そう、それだけだ。」

「じゃ、言うわ。愛してる。ただそれだけよ。」

俺は誠をギュッと抱きしめた。

もういい、ただそれだけでいいと思った。

例え弁護士に戻れと言われてもいいとさえ思った。

だが誠はそんな女ではないことはわかりきっていた。

「おばが言ってた。自分の人生は自分で考えて決められることだと。私もそう思う。」

俺もそう思うと言う前に誠の唇でふさがれた。

言わなくてもわかるという意味が込められているといいが

このキスに。

~ 完 ~

~ 最後までお読みいただきましてありがとうございます。~

~ お楽しみいただけたら幸いです。北原留里留 ~