私が白石さんと付き合うようになって半年が経った。

金曜日の夜は大抵二人で過ごした。

一体私のどこが気に入ったのだろうか。

何の取柄もなく稼ぎもなく女としての魅力も皆無だ。

どちらかと言えばボーイッシュでよくおば達に女らしくと言われては

茶化して私は笑いをとっていた。

肌身離さず常に首にかけている紅水晶のネックレスを指先で確認しては

あの時のことを思い出していた。

「誠、何か作るよ。」

「ありがとう。」

「何でもいいだろ?」

「うん。」

私だって時には誰かに甘えたい。

今まで誰かに甘えたことがなかったせいなのか

彼にそう言われたからなのかは不明だが

キッチンに立つ彼の後ろに忍び寄って両腕をウエストに巻き付けた。

「優。」

背中に頬ずりして自分でもこんな恥ずかしいことができることに驚くのであった。

「何?」

「うん、優はどうしてここにいるのかと不思議に思って。」

「また、誠の悪い癖だね。」

「癖なの?」

「そ。」

彼は私の腕を優しくほどいて向き合った。

「前にも言った通り、もう一人じゃない。俺がいる。二人だ。わかった?」

「うん。」

チュッと私に軽くキスして見つめ合った。

「後でまた甘えてもいいけど?」と言いニヤリとした。

「優のばか、もう知らない。」

私はバスルームに向かった。

クククっと言う彼の低い笑い声を背中に聞きながら。