「あいつ、何処にいるんだよ!」

「大きな声で騒がないで下さい。
翔音(かおん)さんに失礼ですよ」



落ち着いたBARで苛立ちを隠すことなく大声を出した男とそれを咎めた男を見守るBARのマスター。

この空間には彼らしかいない。

どうやら客である2人は誰かを探しているらしい。
見た目は高校生くらいだろうか……?



「けど、あいつは情報操作なんて出来ねぇはずなのに、ここまで見つからないなんておかしいだろうが!」

「そうですね。
俺たちよりも上の技術を持つ誰かが庇っているのでしょうね……」

「お前より腕のいいやつなんて白鷺くらいだろあが……」

「そうでもないと思いますよ。
上なんて探せばいくらでもいますし」



そんな会話をしているうちに、空気が少しずつ重くなっていく。

その時……

カラン……



決して大きくはないが、よく聞こえる軽い音が鳴り響く。

入って来たのはフードを被った小柄な人物。
顔が隠れているため、男か女かは分からない。

その人物の来店にマスターは目を細め、彼らは怪し気な風貌に眉を寄せる。