残される側と残す側ならどちらが辛いんだろうか。
答えなんて誰にも分からない。


俺達は残される側にしかなっていないし、此花だって残す側にしかなっていない。

ただ、俺は思う。
残される側も辛いが、残す側の方が辛いんじゃないかと。

だってそうだろ?
残される側には互いに支え合える仲の奴がいるのに、残す側は1人であっちにいくんだ。

その上、残す側は何があっても残してきたものを手助けすることは出来ない。

ただ見ている事しか出来ないんだから。



「俺、そろそろ寝るね」

「あぁ。おやすみ」



響葵が客室……といっても俺らが来た時にしか使わないらしく俺らの部屋のようになっている部屋に消えていく。

その姿を見届けて、先程置いた携帯を手に取る。

そして、3年前に送られてきて消えないように保護してあるメールを開く。

そのメールにはたった一言。

《炉宮、あとは頼むな》



「何があとは頼むだよ……」