[それに、炉亜だけではなくて俺も炉宮さんなら出来ると思っています]

「随分買い被ってくれるじゃないか。
だが、俺は出来ない。期待してもらったのに悪いな」

[……いえ。こちらこそすいません]



切れた電話。
携帯を机の上に置いて、ソファに寝転ぶ。



「悠葵、なんだって?」

「Tenebraeについて調べて欲しいだと」

「どうして炉宮に……?」



訝しげな顔をする響葵。

そりゃそうだ。
確かに俺は悠葵たちの思い通り、情報処理の能力は他人より長けていると思う。

だかそれを、悠葵や炉亜に言ったことはない。
悟られることを口走った覚えもない。

此花との関係を知っている悠葵たちの事だから、ただ察しただけと言えばそうなんだろうが……



「あいつら、何か気がついてるのかもな」

「もしそうなら直接言ってくる奴らだよ」

「我慢を覚えたのかもしれないだろ?」

「珍しく弟の肩を持つんだね」

「そういう訳じゃねぇ。
ただ、ガキだと思ってた奴らが成長してるなと思っただけだ」