いつもそうだった。
どっちかが熱を出すと、どっちかがあとから熱を出す。

看病をしててもしていなくても。
なぜかうつる。



「今は響葵が?」

「うん」



何をか……なんて、聞かなくてもわかる。
響葵の家は医者の家系。

国立 葵之宮総合病院
(こくりつ あおいのみやそうごうびょういん)

バカでかい病院が響葵の家。

今は一人暮らしをしている響葵の事実は医学書でいっぱい。

跡を継ぐ継がないは別として医学の道に進むつもりらしい。

そのため、看病の知識において響葵の右に出る者はいない。



「看病は響葵がするとしても、史桜はどうするの?」

「なにが」

「家にいるとうつるから嫌々来ているんでしょ?」

「あぁ……適当に引っ掛けて泊めてもらうから大丈夫」

「あんた……そういう所は昔と同じなのね」

「本質は一緒だから。
依存しあってること以外はね」



家に帰らないなら適当に過ごす。

親戚の家の居心地が悪くてよく外に出ていたからよく分かっている。

自分の容姿が周りからどんな風に見られるのかを。

どうすれば最大限に活かして自分の思い通りに相手が動くのかも。



「うちに来る?」

「粃の家?」

「えぇ」

「……遠慮しとく」

「…………そう」

「うん」