「帰るよ」

「……ん」



コツっ……と辺りに響く靴の音。
彼らは私たちのことが見えていないかのように背を向けた。

その時、ふわりと風が吹き彼らのフードを揺らす。

レキと呼ばれた彼はそのフードを抑えたが、目元を隠していた目元が私には見えた。

恐ろしく引き込まれるような紫の瞳。

去っていく彼らを絆たちは追わなかった。



「追わなくていいの?」

「……きっと勝てねぇ」



私が問いかけた後に迷いもなく返された絆のその言葉に悠葵はいつも通りに笑う。
まるでその通りだと言うかのように。

炉亜と舞夜はあまり興味がないみたい。
というか、絆に託しているって感じかしら。



「帰るぞ」

「……うん」