「ねぇ、粃?」

「何?」



妃海と二人っきりの風華倉庫の幹部室。
読んでいた本から顔を上げ妃海の顔を見ると、真剣な顔付きが目に入る。



「今日ね……」



妃海の話によれば今朝、双子に護衛の話をしたのだとか。

余計なことを……。
確かに守ってくれと頼まれれば風華のメンバーは守るだろうけど、余計なことを増やさないでほしい。

確かに昨日の不服そうな妃海の表情を見て、何かやるんじゃないかと思ってたけどまさか直球で言うとは思わなかった。



「それから避けられてるんだ……」



……予想どうりね。
仮に私が彼らの立場だったら避けるもの。

それにあの二人は……



「他人嫌いで有名だもの」

「鈴桜くんと史桜くんのこと?」

「えぇ」



この学校でこの噂を知らないのはきっと転入生である妃海くらい。

世間知らず……というのが正しいのか、お節介というのが妥当なのか。

妃海は優しすぎる。
切り捨てることが出来ず苦しむタイプだろうなぁ。