そこまで言うと白鷺に背を向けたレキ。

白鷺は向けられたその背に、白鷺で共にしていた時の大きな背中を見た。

顔を公にすることのない5人組。
それは、今で言うTenebraeの4人ともう1人。

どうしようもなく馬鹿で、どうしようもなくお人好しな男。

それでも明るく、暖かく優しい。
レキたちにとって、太陽のようで……
白鷺にとっても頼れる存在であった。



「だから、俺も前に進むよ。
あいつに置いていかれないように。

あいつの前を歩いて行けるように」



そう言ったレキの顔は白鷺には見えなかった。

けれど、その声は白鷺にとって聞き慣れていたもので、彼らのいうあの日から聞くことの出来なかった不器用ながらに優しさのある声。

紫義は涙ぐみ、葉由は満面の笑みを浮かべる。
侑蘭は呆れたように……それでも嬉しそうに笑い、涼稀はホッと安心したように息をつく。

露衣は変わらない笑みを浮かべているが、どこか安心しているように雰囲気が柔らかい。



「全部終わったら、ちゃんと俺らから会いに行くよ」

「俺ら……そうね。
みんな揃って会いに来てちょうだい」

「あぁ。
約束する」

「約束破ったらハリセンボン!なんだからねー」