「俺は……お前も死なせたくない」



そんなことを言えば、鳳舞は困ったように笑うのだろう。

琉飛は、その笑顔が嫌いであった。
普段笑わない鳳舞が笑う時はいつも繕った笑顔。

困った時は笑って受け流す術を身につけ、それだけの苦難をたった一人で乗り越えてきた鳳舞の姿を見ると、琉飛は遣る瀬無い気持ちで一杯になるのだ。



「それでも俺は……」



“生きていてほしい”

その一言は音になることなく消えていった。