元々忍として生きるために訓練を積んでいた彼らと、一般家庭の琳埜とでは差があって当然だったのだ。

しかし、その境遇に臆することなく何事にも取り組むその姿にいつの間にか陰口をいう者はいなくなったのだ。

琳埜が影で泣いていたことも、血反吐を吐く思いをしながら努力していたことも近くで見てきた琉飛と鳳舞にとって、琳埜の存在は大きなものになっていた。



“今回は守りきれるかわからないね”



鳳舞の言葉が琉飛の頭の中をかすめる。

鳳舞が言うなんて、余程のことだ。
だが、鳳舞は守るためならどんなことでもする。

どんな危険なことでも戸惑うことはないだろう。
それこそ、感情を消し忍として散ることを選ぶのだろう。

そんなことを琉飛は考える。

飛吹一族はそういう一族だ。

滅びへと向かっていくとしても、守ると決めたものを守るためならその命をも捨てて逝く。