「鳳舞」



横になっていた琉飛が鳳舞を呼びかける。

鳳舞は火が消えてしまわないように火の番をしており、まだ寝ていなかったのか……と言いたげな顔で琉飛を見る。

しかし、横になったその姿は鳳舞に背を向けていてその表情は読み取れなかった。

それでも長い付き合いだ。
鳳舞は火に視線を戻し、柔らかな口調で琉飛に言葉を返す。



「大丈夫だよ、琉飛」

「けど、一族の書物だぞ」

「…………そうだね」

「お前は言ったな」

「何を?」



2人とも視線を合わせることは無い。
鳳舞は火に、琉飛は鳳舞に完全に背を向けている。

だが、この二人の空気は面と向き合って話しているかのようだった。



「俺達でなければならない隠された任務だと」

「うん」

「俺は違うと思っている」

「…………うん」



琉飛の言葉に鳳舞は小さく頷く。

琳埜の手前、俺達でなければならないと言ったが実の所では鳳舞は違う考えを持っていた。