「そんななくせにですか?」

「ええ。きっとあなた程の方は、いらっしゃいませんよ。
あれ程の方のお世話を、お仕事をこなして、皆さんから慕われて。おまけに、厳しい言葉を言っても、凛としていらして。
私の他にも、あなたを敬っている方は、そう少なくないはずです」

「なっ…」

『いつもあざっす!』

「感謝してますよ、姐さん!!」

「ちょっと!やめてよ!!」



やはり幼馴染でらっしゃいます。

反応が、江波くんに似てらっしゃいますもの。

つい数分前の江波くんが、からかわれている時のように、私は笑ってしまいました。

すると、ふいにマネージャーの彼女は振り返り、その視線は私を再び捕らえました。

そして、リョウさんを指差し、こう言ったのです。



「ど、どうせ、放課後はそれ吹いてるだけなら、マネージャー出来るでしょ!!」



大きな声を出し、彼女は確かにそうおっしゃいました。

いつもの毒ある台詞とは少し違い、思わず真意を吐き出してしまったらしく、彼女は口元を覆って、少し震えてらっしゃいました。

そういう時は人間であれば、どなただってあるでしょう。

もしくは、それが無ければ、人などではないでしょう。

私はそう思う人間なので、彼女を責める気など一切、起こりませんでした。

未だ震える彼女に、なるべく優しく言葉をかけようと、私は口を開こうとしました。

しかし、それは見事に遮られたのです。