マネージャーの彼女は、私の正面に歩み寄ってらっしゃいました。

そして一言、このようなことをおっしゃったのです。



「マネージャーしてくれませんか?」



これには、驚きました。

あまりにも突然でしたから。

しかし、これについては、過去にもお断りした筈でした。



「やはり、私は『吹奏楽部』一筋で居たいですから。それに、今はやりたいことも増えてしまいました。ですから──

「一番、最初に言ったときは、本当に冗談だった。でも!ここ最近のあなたを見てきて、あなたにお願いしたいと…思ったの」



まっすぐな彼女の眼差しに捕らえられてしまい、私は固まる他の術を失くしてしまいました。



「私はもう、卒業してしまう。私、こんな性格だから、誘ったって誰も来てくれないし…嘘みたいな話でしょ。でも、本当なの」

「まるで、私と同じですね…」

「そっ、そうよ!…だけど、あなたと私、違うところがあるの」



これまでのお話でさえ、驚きの連続でしたのに、彼女はさらに気になることをおっしゃるのです。