今日は、野球部の皆さん側についてしまおうと思います。



「お時間あるようでしたら、リョウさん、吹いてみますか?」



私は、満面の笑みで尋ねました。

すると、江波くんは私の思った通りに、少し慌ててらっしゃいました。



「いや、あのっ、でも、大事な楽器なんじゃ…」

「待って待って、江波。大事な楽器のその前に、間接キスする、ってことだからね。わかってる?」



それを言ったのは、野球部のうちのお一人、冷静に人を攻める方です。

何故か彼は、よく印象に残っています。

もう一度その彼が、黒い笑みを浮かべ、おっしゃいます。



「わかってる?間接キス、だよ」



彼が何か、意味が有り気な表情を浮かべ、江波くんに迫ります。

江波くんは案の定、その場で硬直し、体温計の水銀のように、みるみるうちに真っ赤に顔を染め上げていきました。

その姿を見て、私は思わず笑ってしまいました。

やはり江波くんは、可愛らしい方なのです。



「やっ、やっぱりもう行こう!みんなも付き合ってもらって悪かった!」



江波くんが、慌てている時でした。



「私は、この子に話があるわ。最初からそのつもりで、ついて来たんだから」



そう言ったのは、マネージャーの彼女だったのです。