確かに担任が、そうおっしゃったのです。

しかし、私はある時から、気持ちが変わっていたのです。



「いえ。練習場所は、結構です」



そして、私はリョウさんを両手で支えるようにして、先生方の目線に近づけるために、少し持ち上げました。



「この相棒を、安全に預けられる場所だけを、いただきたいのです」

「え」「萩原さん、どうして?」

「練習は、どこでもすることが出来ます。だから場所は、その日の気分で変えられるほうが楽しいのです。
しかし、皆さんが走り回る教室に相棒を置いておくのは、とても恐いです。何時、誰に蹴飛ばされてしまうか…
練習の時間まで、いつも冷や冷やしておりました。
ですから、相棒を置いておくのに、安全な場所だけがほしいのです」



「そうか…」



担任はわかったと言って、後日校長先生に掛け合ってくれる、と約束してくださったのです。

たくさんのことが起こった初舞台でしたが、結果良ければ、全て良し、なのです。

何より、楽しむことが出来たのですから。