俺の勉強の方は、かなり順調だ。

見かけによらず秀才なマネージャーに怒られながら日々、勉強をしている。

1人ではなく、よく慣れ親しんだ仲間たちと共に、勉学に励んでいるのだ。

そのためか、勉強が楽しい、と感じてしまっている。

しかも、それに加えて、深海魚の君も居る。

ある日の放課後、彼女が俺たちの勉強会を覗き込んでいたことをきっかけに呼び込んだ。

快く同意をくれ、それから毎日のように一緒に勉強をしていた。

俺の勉強がはかどるのには、彼女のことも関係しているのかもしれない。

マネージャーのあいつも、深海魚の君と仲良くなっている様だった。

俺にとって、それが妙に嬉しかった。

その他諸々があって、本当に勉強をするということが、楽しく感じてしまうというのだから、驚きだ。

いつの間にか、放課後が待ち遠しくなっている。

少しばかり心に余裕ができた俺は、たった今、放課後だがグラウンドを眺めていた。

これも1人ではない。

俺と同じく、それぞれの進路への不安を一旦、横へ退けているチームメイトの数人で、だ。



「あ。あいつ、今ミス、誤魔化したね」



毒々しく呟いたのは、俺の隣の奴だ。

俺たちは後輩たちの練習風景を、ネット越しから後輩の誰にも知られないようにして、見守っているのだ。



「あいつ、もっと後ろに下がれよ、下がれって!」

「はい、ばんざーい」

「俺も昔やったわ、あれ」

「うそ。あんなの今時、小学生でもやらないでしょ」



見守っているのだ、誰が何と言おうと。