私は声が揃ったことに嬉しく想ったのですが、彼女はそうではなかった様です。
私は笑顔でした。
しかし、彼女は何とも複雑そうに目や鼻や口を踊らせていました。
「どうかされましたか?」
「べ、別に!」
何故か彼女は顔を真っ赤にして、ご自分の問題集に目をやっていました。
江波くんとお揃いで、彼女も意外な照れ屋さんなのでしょうか。
彼女の反応に思わず、微笑ましい想いがいたしました。
未だ真っ赤で居るマネージャーの彼女に、次は江波くんが声をかけました。
「ちょっといいか?ここの問題の答えが、どうしても合わないんだ」
彼女はハッと驚いたようにして、彼にまた少しばかり厳しい言葉を吐いております。
私はとりあえず、先程まで彼女に教えていただいた問題を、解き直すことにいたしました。
「だから!何でそうなるのよ。ここのマイナスはプラスに変わるでしょ」
「ああ、そうか」
「そうか、じゃないでしょ!」
非常に、前方がにぎやかです。
この空間は、胸に引っかかっている嫌なことなど本当に忘れてしまえそうな程に、楽しい場所でございます。



