江波くんはいつも通りにして、顔を真っ赤に染め上げていました。
そして、一つひとつの台詞を、丁寧に紡いでくださる相変わらずな江波くんに、私は嬉しく想います。
心を打たれてしまいました。
そして、私は堪らず、泣いてしまったのです。
「…江波くん」
「はい」
「江波くんからも、はっきりと聞きたいのですが…」
「…えっ?あ、俺…ですか?」
私は泣き顔のままで頷くと、江波くんは彼の後方にある正門の方へ目をやりました。
「俺は、あの門の境を超えれば、もうこの学校の生徒ではなくなります。
…そうすれば、今までのように、あなたに逢うことは出来なくなる」
「ええ」



