江波くんを、まだ少し遠くから見つめていると、彼らが私に気付いてくださいました。
すると、野球部のある一人の方が、私に手招きしてくださったのです。
はじめ、少し信じられず、自身を指差し確認すると、うなずいてくださったので、私で間違いないのでしょう。
駆け寄っていくと、いきなり江波くんを差し出されました。
私は驚き、目を見開きます。
「うおっ!何するんだ、お前ら!」
江波くんも大層、驚かれている様子でした。
「良いから、二人で桜の木の下に並べ!はやく!写真撮ってやるから!」
「おらっ!」
また別の方が、掛け声と同時に、江波くんのお尻辺りを蹴り上げてみえます。
しかし、せっかくの機会を与えていただきました。
「写真、お願いします!」
私はカメラを構えている彼に、勢い良く、そして深くお辞儀をしました。
「どちらにせよ、俺は強制なんですね…」という江波くんの嘆きが、少し聞こえました。
そうは言いつつ、二人、照れながらも並びます。



