「何だと?!先手を打たれた上に、失敗しただあ?」

「やっぱり情けないね、江波は」

「たくっ!何で言わなかったんだよ。後悔しても知らねーぞ」



ああ、空が青い。

これ程に天候が良ければ、絶好のドライヴ日和だ。

俺はこのようなことを言っているが、今いる場所は、ファーストフード店の室内である。

学校が休みの今、自動車学校に通っていた。

その自動車学校の道路の向かいに位置している、ここで昼食をとっているところであった。

ガラス張りの窓際の席に座り、チームメイト兼友人と横一列でハンバーガーを頬張る。

しかし、本当に今日は天気が良い。

このような天気の良い日だというのに、たった今は皆から責められているところだった。



「で?先手を打たれたってことは、逆に告白されたってことでしょ。江波は何て返事したの?」

「なんか…うやむやな感じに…」

「阿保だなー、お前。」

「うっ。どうせ阿保だよ、俺は」



俺がここまでぼろくそに言われる筋合いは、残念ながら、ある。

3学期の始業式のあの日、萩原さんに一緒に帰ろう、と誘った。

見事にそこまでは、成功だったはずなのだ。

しかも、彼女の練習にも立ち会うことが出来た。

彼女の奏でる音を聴いている時と言うのは、一服できる時間でもある。

そもそも彼女を誘ったのには、成り行きがあったのだ。