めはくちほどに


これだけ騒がしい場所で寝かされれば起きるに決まっている。

「あ、おはようございます」

頭が痛いのか少し眉を顰めた顔で、異世界に迷い込んだというような顔をしている。

「……おはよう、ございます」

敬語だったので、記憶喪失を疑ってしまった。



と、いうような流れで、副社長は家に来たことがある。

「ここ?」

「はい、ありがとうございます」

本当に近くのコインパーキングに停めてくれた。このお金、払った方が良いのかな。

「先にスーパー行ってて」

「あ、はい」

反射的に答えてしまったけれど、後からスーパーに来るという意味なのか。