めはくちほどに


きっとこれも海都がやってくれたのだろう。昔から気の回せる頭の良い子だ。

「いや……うちの副社長」

「副社長? すごい人持って帰ってきたね」

「私もよく覚えてないんだよね」

「二時くらいに玄関に倒れ込んでたよ。副社長と仲良いの?」

全く、そんなに話した覚えもない。首を振る。粗相をしていないと良いけれど。

炊飯器にお米をセットして早炊きのボタンを押す。いくつかの冷凍食品を出して、海都に渡した。

「まあ良いんだけど。やっぱり副社長なだけあって、裕福そうだよね。スーツもブランド物だし」