そんな副社長にどうして話しかけられる人間に私がなったのかと言うと、この間の飲み会帰りに私が副社長をお持ち帰りしたからだ。
聞いて驚かないで欲しい、家に持ち帰った。
そして朝起きると私はきちんと自分の布団で眠っていて、きちんといつもの時間に起きた。
副社長はリビングに寝かされていた。そのことに一番私が驚いた。
大学生の弟、海都が台所でお米を研いでくれている。
「おはよ」
「おはよう。ありがとう、お米と……」
「一緒に帰ってきたんだけど、緋咲ちゃんの彼氏?」
スーツのジャケットがハンガーに掛かっている。



