「まあ兎に角! 紺野家は他とは違うってこと」
「はいはい」
「でもそれって、緋咲が頑張って築いたものなんだろうね」
再びオムライスを食べ始める。私はその言葉を聞いて、同じようなことを副社長も言ってくれていたな、と思い出す。
詳細は忘れてしまったけれど。
「あれ? それで結局、この前はどこに行ったの?」
「うちに来た。ケーキ持って」
「なにそれー、結婚の挨拶か何か?」
全く違うとも言い切れないので、笑って誤魔化しておいた。
お母さんみたいだね、と言われたことがある。
それまでは一度も言われたことがなかったのに。



