めはくちほどに


海都と私を除いて、妹二人は未成年なので家に帰ってくるのは普通のことだ。

星子は今年受験生でピリピリしているときもたまにあるけれど、葉苗が良いクッションになってくれている。
何だかんだ言って、星子とは10歳以上離れているし、葉苗の方が話しやすいだろう。

「違うんだよ、紺野家はなんていうかね、温かいの。家に入っちゃうと家族の一員になれちゃった気がするの」

「あの海都にこき使われるなんて河上くらいだけどね」

「え、そうなの?」

納得いかない顔をした河上が唇を尖らす。河上が家に来るときも大抵酔っぱらっているので、海都に呆れられている。