めはくちほどに


というか、家に来たお詫びに責任取って結婚って、どういう場面を切って貼ったらそうなるのか。

私たちは寝てすらいないし、それ以前に副社長がどういう人間なのかも、私がどういう人間なのかも知っていない。

知る必要性もないけれど。

喜ぶ海都を見て、副社長が安堵の表情を見せる。そんな、うちの家族は心配する程好き嫌いもないのだ。

「大学生?」

「はい、三年です」

「学部は?」

「経済です」

副社長と海都はスムーズに会話をしながら、星子の生真面目な相槌と葉苗ののんびりとした疑問が投げられたりして、楽しそうな雰囲気になっていた。良かった、馴染んでいる。