めはくちほどに


歳が近いからか、姉である葉苗がぼーっとしているからか、二人はよくじゃれあっている。

それでも、私たち家族は足りない部分を誰かが補うように生活をしている。その穴が大きいとか形が歪だとか、そういう苦情は受け付けていない。

家族が出来ないことを自分が請け負う。その代わりに自分の出来ないことは家族に請け負ってもらう。

そういう風に生きていこう、と私たちは親を亡くしたときに決意した。

「副社長がケーキ買ってくれたよ」

ケーキなんて誰かの誕生日にしか食べられないので、二人が狂喜乱舞している。

まずは副社長をテーブルに座らせて、麦茶を出す。